2007年09月07日
時代は優れた1人の人物が牽引する-ロシアバレエの絶頂
木立の中の静謐な洋館、東京都庭園美術館に、舞台芸術の世界-ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン展を見に行く。
これは、ちょっと前に某カルチャーセンター(ボイトレで通っている)の置きチラシを手に取ったときから、ビビン!と来て絶対行くぞと思っていたもの。早くしないと終わっちゃう〜と駆け込み鑑賞(^^)
ロンドンのシアターミュージアムのように舞台芸術専門の美術館というのは日本にはない。いや、早稲田演劇博物館があるにはあるし、展覧会も実施しているが、いかんせん専門的過ぎて、資料館的である。フツーの人が楽しんで足を踏み入れられる場所ではないと思う。そんなジャパン、そんなシチュエーションだから、こういう展覧会は見逃せない!!
というわけで、この展覧会も、ハシモトの好奇心を満たしてくれる、素晴らしいものでした。いや、期待以上!予定してたよりも美術館に長居してしまったくらい。
なにに感動したってもうイロイロ(^^;) 忘れたくなくて、これから出かけるというのに重いカタログを購入して、イキナリ美術館の庭のベンチで読み始めてしまったくらい(^^;)
ん〜。
特に印象に残ったのは、....ホント色々あるんだけど(^^;)
例えば、ナタリア・ゴンチャロワというアーティストによる、オペラバレエ『金鶏』の舞台デザイン。
薄い紙に書かれた金色(正確には黄色)の絵なんだけど、こ、これが舞台デザインなの!?っていうくらい、どこが舞台かわからん(^^;) とにかく光り輝いていて、びかびかにド派手、こんなぶっ飛んだ美術、どうやって実現したのか知りたい!!
それになんと言っても、偉大なる興行主ディアギレフの劇場「こうもり座」の一連のプログラム表紙!
表紙を見るだけで面白そ〜楽しそ〜一体どんな舞台なの〜とわくわくしてしまう。見るからにユーモアがあって、あったかい。お高いお芸術の気取った感じはまるでナシ!う〜〜〜こういうの、本当に素敵だなぁ....(これはホント、長〜いこと眺めてため息ものでした)
そして!大好きな漫画家、山岸涼子さんの模写でしか知らなかったジョルジュ・バルビエの『ニジンスキー』!!!う、美し〜....ビアズリー(『サロメ』の挿絵を描いた人)好きの私にとってはたまりません!!
『ニジンスキー』もネットにありました!これこれ!
しかし、意外ながら私が最もじっくり見、そしてふぅぅむと感心してしまったのは、廊下に貼ってあった『バレエ史関連年表』!
「1654年-ルイ14世(14歳)が『夜のバレエ』で太陽の役を踊り、これが"太陽王ルイ14世"の呼称の由来となった。1670年でダンサーとしての活動から身を引いた後、バレエは自ら参加する舞踏から専門家の演じる芸術への変化を遂げることになる」
.....知ってたぁ!?!?
お恥ずかしながら浅学ハシモト、そんなこと全然知りませんでした!!
太陽のように栄光輝く王様!って意味だと思ってたら全然そうじゃなく、子どものとき「太陽さん」の役を踊ったから「太陽王」だったのね、ルイ14世....(これ、先生も配役には相当気を遣ったに違いない....)
そして、1670年でダンサーとしての活動から身を引く....って、ダンサーだったんかい!?王様!?
ここにおいてダンサーは「卑しい職業」では全くない。だって「王様の副業」だもん!!
そりゃぁ王様の絶大なるバックアップを元に、この後のバレエは発展せざるを得ないよね。
.....これが文化。王様とか貴族とか、金あり、名声あり、権力あり。そういう人たちが、自分が愛するから芸術を支える。これがヨーロッパ文化のバックボーン。.....日本にも、そういうの、あったんだけどな。江戸時代の豪商が歌舞伎を支える、みたいな。
しかも、現在の「日本の文化政策」では、「それは日本固有の文化か?そうでないならなぜ支援する必要があるか?」みたいなアホなことが重要視されてる。つまり、歌舞伎や能や雅楽は支援・保護するけど、オペラやバレエやクラシック音楽は西洋のものだから支援しない、みたいな。
......バレエって元はイタリアで始まってますから!フランスじゃなく!
なんかそーゆーところ、自由じゃないよね。なにが「固有のものか」って、そんなもんないから!私たちの文化だって源は中国か朝鮮でしょう。「固有」とゆー発想が「神国ジャパン」幻想だっつーの。
しかも、王様30歳までダンサーだから.....(^^;)
王様、国政は見なくても良かったのでしょうか.....いい国だ、フランス。
「1875年-パリ、オペラ座(正式にはガルニエ宮)が開場する。この開場からアボネ(定期ボックス購入者)が舞台裏へ自由に通えるという悪習が始まり、パリ・オペラ座のバレエは女性が見るべきものでないというような空気が漂い、バレエ・リュスの登場まで続くことになる」
今は名高いパリ・オペラ座が、芸術を淫売に落とした元凶とは。この現象、今でもこの世界にはある。アーティストに金を振る舞う自称「ファン」には気をつけるべし。くわばらくわばら。
いや、別にセックスはいいんだけど(たとえそれをお金に変えても。本人がそうしたいなら)、それによって舞台の質が必然的に落ちることを心得ておかないと。
などなど、たかだか数行に目を見張り、心躍らせ、異なる分野の歴史も、なんて示唆に富んでいるんだろう!!
尤も歴史というものは、過去を振り返って今から思えばこうなった、と語るもの。渦中を生きているときはその選択肢がどこへ続くかわからない。だから何度も同じ過ちを人類は繰り返すのだろうけど。
いや、それで、ロシアバレエの話から逸れてしまったけれど、私が強く思ったのは、バレエ・リュスを生み育てたディアギレフという興行主は偉大だということでした。「興行主」なんて名前に収まらない!
言ってみれば、バレエ・リュスはすべてディアギレフの選択の結果。ニジンスキーという稀代のダンサーの登場も、当時無名だったストラヴィンスキーの大抜擢も、舞台美術を大道具からアートの世界に移行したのも、パリでのバレエの地位を変えたのも、世界にその影響を与えたのも、全部、全部。
元声楽家を目指し、転じて作曲家を目指し、就いた仕事は美術評論家で絵画の研究家というこの得体の知れない「おっさん」は、ものすごい嗅覚と、ものすごい行動力と、ものすごい情熱を兼ね備えた人だったに違いない。
もちろん、優れたダンサーや、作曲家、アーティストがいたから、彼の作品は成立したわけだけど、でも彼がいなければ、みんなこれほどの仕事を成し遂げられただろうか?.....ダメだったんじゃないかと私は思う。(実際、ディアギレフと袂を分かった後のニジンスキーのバレエ団は、鳴かず飛ばずだったそうだ。)
一体なにが歴史を動かしてるのか?....って、一人の天才なのか???そうかも知れない。
この展覧会、もちろん衣装やアクセサリー、その原画なども展示されているから、デザインの勉強をしている方、なにか刺激を受けたい方にも楽しめると思う。
見逃してしまった!という方、カタログをミュージアムショップで売っている可能性あり!東京都庭園美術館に確認してみて!あれば郵送でも購入できるみたいよん♪
う〜ん。歴史って、偉大だぁ。
関連する記事へのリンク(別ウィンドウで開きます)
■とっても良い展覧会でした。舞台芸術の世界-ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン
■美術館自体も、アールデコの名建築!大好きです。東京都庭園美術館
■ロンドンに行ったら是非ここも訪れて下さい。Theatre Museum。コヴェントガーデンにあります。
■価値はあるのだけど、今イチ心が躍らない(^^;) 研究所ってことだよね。早稲田演劇博物館(通称「えんぱく」)
これは、ちょっと前に某カルチャーセンター(ボイトレで通っている)の置きチラシを手に取ったときから、ビビン!と来て絶対行くぞと思っていたもの。早くしないと終わっちゃう〜と駆け込み鑑賞(^^)
ロンドンのシアターミュージアムのように舞台芸術専門の美術館というのは日本にはない。いや、早稲田演劇博物館があるにはあるし、展覧会も実施しているが、いかんせん専門的過ぎて、資料館的である。フツーの人が楽しんで足を踏み入れられる場所ではないと思う。そんなジャパン、そんなシチュエーションだから、こういう展覧会は見逃せない!!
というわけで、この展覧会も、ハシモトの好奇心を満たしてくれる、素晴らしいものでした。いや、期待以上!予定してたよりも美術館に長居してしまったくらい。
なにに感動したってもうイロイロ(^^;) 忘れたくなくて、これから出かけるというのに重いカタログを購入して、イキナリ美術館の庭のベンチで読み始めてしまったくらい(^^;)
ん〜。
特に印象に残ったのは、....ホント色々あるんだけど(^^;)
例えば、ナタリア・ゴンチャロワというアーティストによる、オペラバレエ『金鶏』の舞台デザイン。
薄い紙に書かれた金色(正確には黄色)の絵なんだけど、こ、これが舞台デザインなの!?っていうくらい、どこが舞台かわからん(^^;) とにかく光り輝いていて、びかびかにド派手、こんなぶっ飛んだ美術、どうやって実現したのか知りたい!!
それになんと言っても、偉大なる興行主ディアギレフの劇場「こうもり座」の一連のプログラム表紙!
表紙を見るだけで面白そ〜楽しそ〜一体どんな舞台なの〜とわくわくしてしまう。見るからにユーモアがあって、あったかい。お高いお芸術の気取った感じはまるでナシ!う〜〜〜こういうの、本当に素敵だなぁ....(これはホント、長〜いこと眺めてため息ものでした)
そして!大好きな漫画家、山岸涼子さんの模写でしか知らなかったジョルジュ・バルビエの『ニジンスキー』!!!う、美し〜....ビアズリー(『サロメ』の挿絵を描いた人)好きの私にとってはたまりません!!
『ニジンスキー』もネットにありました!これこれ!
しかし、意外ながら私が最もじっくり見、そしてふぅぅむと感心してしまったのは、廊下に貼ってあった『バレエ史関連年表』!
「1654年-ルイ14世(14歳)が『夜のバレエ』で太陽の役を踊り、これが"太陽王ルイ14世"の呼称の由来となった。1670年でダンサーとしての活動から身を引いた後、バレエは自ら参加する舞踏から専門家の演じる芸術への変化を遂げることになる」
.....知ってたぁ!?!?
お恥ずかしながら浅学ハシモト、そんなこと全然知りませんでした!!
太陽のように栄光輝く王様!って意味だと思ってたら全然そうじゃなく、子どものとき「太陽さん」の役を踊ったから「太陽王」だったのね、ルイ14世....(これ、先生も配役には相当気を遣ったに違いない....)
そして、1670年でダンサーとしての活動から身を引く....って、ダンサーだったんかい!?王様!?
ここにおいてダンサーは「卑しい職業」では全くない。だって「王様の副業」だもん!!
そりゃぁ王様の絶大なるバックアップを元に、この後のバレエは発展せざるを得ないよね。
.....これが文化。王様とか貴族とか、金あり、名声あり、権力あり。そういう人たちが、自分が愛するから芸術を支える。これがヨーロッパ文化のバックボーン。.....日本にも、そういうの、あったんだけどな。江戸時代の豪商が歌舞伎を支える、みたいな。
しかも、現在の「日本の文化政策」では、「それは日本固有の文化か?そうでないならなぜ支援する必要があるか?」みたいなアホなことが重要視されてる。つまり、歌舞伎や能や雅楽は支援・保護するけど、オペラやバレエやクラシック音楽は西洋のものだから支援しない、みたいな。
......バレエって元はイタリアで始まってますから!フランスじゃなく!
なんかそーゆーところ、自由じゃないよね。なにが「固有のものか」って、そんなもんないから!私たちの文化だって源は中国か朝鮮でしょう。「固有」とゆー発想が「神国ジャパン」幻想だっつーの。
しかも、王様30歳までダンサーだから.....(^^;)
王様、国政は見なくても良かったのでしょうか.....いい国だ、フランス。
「1875年-パリ、オペラ座(正式にはガルニエ宮)が開場する。この開場からアボネ(定期ボックス購入者)が舞台裏へ自由に通えるという悪習が始まり、パリ・オペラ座のバレエは女性が見るべきものでないというような空気が漂い、バレエ・リュスの登場まで続くことになる」
今は名高いパリ・オペラ座が、芸術を淫売に落とした元凶とは。この現象、今でもこの世界にはある。アーティストに金を振る舞う自称「ファン」には気をつけるべし。くわばらくわばら。
いや、別にセックスはいいんだけど(たとえそれをお金に変えても。本人がそうしたいなら)、それによって舞台の質が必然的に落ちることを心得ておかないと。
などなど、たかだか数行に目を見張り、心躍らせ、異なる分野の歴史も、なんて示唆に富んでいるんだろう!!
尤も歴史というものは、過去を振り返って今から思えばこうなった、と語るもの。渦中を生きているときはその選択肢がどこへ続くかわからない。だから何度も同じ過ちを人類は繰り返すのだろうけど。
いや、それで、ロシアバレエの話から逸れてしまったけれど、私が強く思ったのは、バレエ・リュスを生み育てたディアギレフという興行主は偉大だということでした。「興行主」なんて名前に収まらない!
言ってみれば、バレエ・リュスはすべてディアギレフの選択の結果。ニジンスキーという稀代のダンサーの登場も、当時無名だったストラヴィンスキーの大抜擢も、舞台美術を大道具からアートの世界に移行したのも、パリでのバレエの地位を変えたのも、世界にその影響を与えたのも、全部、全部。
元声楽家を目指し、転じて作曲家を目指し、就いた仕事は美術評論家で絵画の研究家というこの得体の知れない「おっさん」は、ものすごい嗅覚と、ものすごい行動力と、ものすごい情熱を兼ね備えた人だったに違いない。
もちろん、優れたダンサーや、作曲家、アーティストがいたから、彼の作品は成立したわけだけど、でも彼がいなければ、みんなこれほどの仕事を成し遂げられただろうか?.....ダメだったんじゃないかと私は思う。(実際、ディアギレフと袂を分かった後のニジンスキーのバレエ団は、鳴かず飛ばずだったそうだ。)
一体なにが歴史を動かしてるのか?....って、一人の天才なのか???そうかも知れない。
この展覧会、もちろん衣装やアクセサリー、その原画なども展示されているから、デザインの勉強をしている方、なにか刺激を受けたい方にも楽しめると思う。
見逃してしまった!という方、カタログをミュージアムショップで売っている可能性あり!東京都庭園美術館に確認してみて!あれば郵送でも購入できるみたいよん♪
う〜ん。歴史って、偉大だぁ。
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■とっても良い展覧会でした。舞台芸術の世界-ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン
■美術館自体も、アールデコの名建築!大好きです。東京都庭園美術館
■ロンドンに行ったら是非ここも訪れて下さい。Theatre Museum。コヴェントガーデンにあります。
■価値はあるのだけど、今イチ心が躍らない(^^;) 研究所ってことだよね。早稲田演劇博物館(通称「えんぱく」)





